本日はオーストリア・ハンガリー二重帝国の戦艦「フィリブス・ウニティス」を紹介.
オーストリア・ユーゴスラビアを始めとした国の人々にとってはかなり馴染みのある戦艦のようで,wikiの解説が非常に丁寧だったのが印象的な戦艦である.
就役は1912年,弩級戦艦としては世界で3番目の就役で,wows内にはTier4に実装予定だ.
(記事の情報は2018年12月20日の情報です.ゲーム画像Copy rightWargaming社)
フィリブス・ユニティス 艦情報
歴史背景
舞台はオーストリア・アドリア海
地図の赤色がオーストリア=ハンガリー二重帝国(以下オーストリア).
オーストリアとイタリアの間にあるのがアドリア海.
オーストリアは沿岸部に1906~1908年にかけて,沿岸部に鉄道を建設.
また沿岸部は税率が低く,経済活動が活発な地域であり,沿岸を自衛する海軍の重要性が増していた.
オーストリア.仮想敵はイタリア
イタリアは19世紀後半時,イギリス・フランスに次ぐ第三の海軍国.
20世紀に入る時期にはロシア・ドイツがそれを追い越し,いくぶんイタリアの勢力は衰える.
しかし依然としてイタリアはオーストリアの1.7倍トン数の戦艦・1.8倍トン数の軍艦を保有していることは,オーストリアの懸念事項であった.そこで登場したのが
ドレッドノート
である.従来艦2隻分に相当するといわれ,現存艦が一気に旧式化する事態となった.
しかし,戦艦の保有数が少なかったオーストリアにはむしろ朗報で,イタリアを追い越すチャンスとなる.
同時期にイタリアは鉄工所の契約問題で軍艦の建造が停止していたことも追い風となり,オーストリアは弩級戦艦の建造を決定したのであった.
フィリブス・ウニティス艦情報
弩級戦艦では世界初の三連装
主砲を採用.
オーストリアの軍事費削減政策の下,艦をコンパクトにする必要があったことや,イタリアが三連装主砲を持つ「ダンテ・アリギエーリ」を建造していたことが背景にある.
内海であるアドリア海
のメリットを活かし,背負式砲塔を採用.重心が上がり船の横揺れが激しくなるデメリットはあるが,そこはアドリア海が主な哨戒地域.艦をコンパクトにまとめた.
衝角の下に魚雷管を装備
おかげでずいぶん直進性が損なわれたらしい.WOWSで実装されれば面白いと思う.
蒸気タービンは二段式
高圧式タービンのみでは,蒸気エネルギーの一部は廃熱となってしまう.
蒸気エネルギーを回収するために,低圧タービンを組み合わせて燃費を向上.
当時としての環境技術だ.
フィリブス・ウニティス 運用
1914年オーストリア皇太子がサラエボへ軍事演習視察へ出掛けた.その時搭乗していた艦が
フィリブス・ウニティス
そして軍事演習中にオーストリア皇太子が暗殺されてしまう.これが第一次世界大戦勃発のきっかけとなったサラエボ事件だ.
のっけから歴史の大舞台に登場する本艦である.
アンコーナ軍事施設砲撃
1915年イタリアアンコーナ県にある軍事施設を砲撃する.
鉄道・軍事施設・インフラの破壊に成功.軍事飛行船にも被害を与えたらしい.(時代・・・)
しかし,第一次世界大戦の大部分は港ですごしたようだ.
石炭輸出国のイギリスが輸出を停止したため,満足に運用できなかったらしい.
要は第二次世界大戦時の日本と一緒である.
オトラント海峡封鎖攻撃
にも出撃.しかし姉妹艦「シュツェント・イストファン」が魚雷を受け傾斜する.
この時の映像は記録されており,wikipediaで見ることが可能.
艦長は主砲を傾斜する側と反対に向け,乗組員も傾斜する側と反対にカウンターウェイトとして集まったが,浸水による排水ポンプ停止が致命傷となり,転覆・沈没.
僚艦の喪失を受け,フィリブス・ウニティスを始めとした艦隊は作戦を中止する.
フィリブス・ウニティス沈没
趨勢は連合国側に傾く中,終戦工作に向け,オーストリアは中立を表明した「スロベニア人・クロアチア人・セルビア人国」(以下ス・ク・セ人国)に艦隊譲渡を決める.
これはス・ク・セ人国が王位廃止を正式に決定しておらず,カールIがス・ク・セ人国の新たな君主となることを目的とした,とされる.
1918年10月31日艦隊はス・ク・セ人国に譲渡され,フィブリス・ウニティスは
「ユーゴスラビア」
と名称を変更し,クロアチア人の指揮に入ることとなった.
しかしイタリア側はそれを把握しておらず,ユーゴルラビアと名称を変えたフィブリス・ウニティスに1918年11月1日未明時限爆弾を仕掛ける.
そして6時44分,爆弾が爆発.フィリブス・ウニティスは母港プーラにて転覆・沈没する.
終戦の僅か三日前のことであった.
フィリブス・ウニティス / カイザー 比較
さて前置きがかなり長くなってしまった.
フィリブス・ウニティスはオーストリア・ユーゴスラビアの人にとってとても愛着のある艦のようである.
さてフィリブス・ウニティスとカイザーを比較してみた.
表フィリブス・ウニティス / カイザー 比較
名称 | 艦名 | Kaiser | Viribus Unitis |
日本語表記 | カイザー | フィリブス・ウニティス | |
外装 | HP | 46400 | 35700 |
主砲 | 口径 mm | 283 | 305 |
門数 | 5×2 | 4×3 | |
リロードs | 26 | 32 | |
砲塔回転速度°/s | 3 | ← | |
射程km | 15.99 | 14.7 | |
最大散布界m | 208 | 210 | |
シグマ値 | n.a | 1.5 | |
HE弾ダメージ | 3500 | 4200 | |
HE発火率 | 23% | 23% | |
HE初速 m/s | 855 | 800 | |
AP弾 | 8400 | 8500 | |
AP弾初速m/s | 850 | 800 | |
対空 | 対空/長距離 | 32.4/4.0 | n.a. |
対空/中距離 | 45.4/3.5 | n.a. | |
対空/短距離 | 96.4/2.0 | n.a. | |
機動性 | 速度 kt | 23 | 20 |
旋回半径 m | 600 | 530 | |
転舵時間 s | 13 | 11.5 | |
隠蔽 | 隠蔽 km | 14.22 | 10.8 |
航空隠蔽 km | 10.5 | 8.5 |
フィリブス・ウニティス 消耗品
スロット1:応急工作班
スロット2:修理班
フィリブス・ウニティス 国籍
現状ではドイツでの実装予定だが,元はオーストリア・ハンガリー二重帝国の戦艦なので,国籍は変更になるかもしれないとのこと.
フィリブス・ウニティス 主砲
口径は305mm.
装填時間・射程・精度・弾速全てカイザーの下位互換.
フィリブス・ウニティス 隠蔽
実装されている戦艦の中でも最良隠蔽値は3位.
Tier4ではダントツの一位である.
フィリブス・ウニティス 生存性
HPはTier4では最下位.
Tier4というよりTier3の戦艦の平均値くらい.
テスト艦なので・・・
「パラメータは変更になる可能性があります」とのこと.
調整が入らなければ「隠蔽特化の面白い・戦える」艦ということだが,テスト結果はどうなるのだろう.
フィリブス・ユニティス 他
消耗品
優遇等のアナウンスは現状ではない.
魚雷
史実では艦首・艦尾に発射管があったらしいが,現状ではアナウンスはない.
副砲
データは未公表.
参照
ST, German battleship Viribus Unitis, tier IVHit points – 35700. Plating – 19 mm.Main battery – 4×3 305 mm. Firing…
https://en.wikipedia.org/wiki/Tegetthoff-class_battleship
https://en.wikipedia.org/wiki/SMS_Viribus_Unitis
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